鷹野隆大さんの写真集『鷹野隆大 1993-1996』を撮ってみて、あらためて写真集としての佇まいの良さに気づかされます。20センチ角ぐらいの、小ぶりの本ですが、ページを捲ると絡み合っている人々が、(くんずほぐれつ、というのはこういう状態のことを指すんですね。ほぐれてないのも多いですが。)
本が小さいので、捲って見ていると手の中で人々が蠢いているような気分にもなります。
写真の画面全体が入るように撮ればいいのでしょうが、接写するとどうしても画面が歪むので、画面の端が欠けてしまうような状態で撮ってしまう。というか、その方が臨場感が湧く、というか写真がよりエロティックに見えるような気がします。「物撮り」としては失敗なんですが、写真集を見る体験の「事撮り」としては、ありなんじゃないだろうかと思います。
テラっと光る赤い表紙も触覚的。

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ところで鷹野さんの作品「ぱらぱらクッション」を見て、
「イエス・ノー枕」が脳裏に浮かぶのは、私だけでしょうか。

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写真集ブツ撮り練習をすると、紙の質感、光沢、サイズ、レイアウト諸々の要素の組み合わせ方を立体としてどう捉えるかが肝要で、白い紙も、紙の質感によって光の反射がまったく違うし、印刷されている写真との関係が違ってくる、ということがよくわかります。
写真集で写真を見る、というのは建造物の中に身を滑り込ませるようなことに近いような気がします。好きなアッバス・キアロスタミの写真集二冊を試し撮り。
Shadows in the Snow とPluie et Vent
アメリカ、フィラデルフィア州に拠点を置く、Lodima Pressという小さな写真集出版社のことを知ったのは、去年のパリフォトの会場でした。Michael A SmithとPaula Chamleeという二人の写真家が運営していて、600線という極めて高いスクリーン線数(通常の高精度印刷でも300線)で印刷された(ベルギーの印刷所にしかない印刷機らしい)写真集のページは、印刷物を見ているということが信じられないほどの精度。
Eric Lindbroomという写真家の、Salt Grass という写真集を買ったのですが、塩草の細い葉の一本一本までもが見えて、ページに顔を近づけて見ていると、草むらの中に眼が入りそうな感じ。引いてみると、犬や馬か何か、動物の毛並みにも見えてきます。

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写真エージェンシー、
マグナム・フォトス設立60周年記念として刊行された写真集の日本語版です。A3変形、564ページという、大きい!そして重い!!本です。翻訳を担当させて頂きました。マグナム・フォトスに所属する写真家たちが、ほかのメンバーの写真家を選び、その人の作品を数点ずつ選んで、コメントやエッセイを書いています。写真家が別の写真家のことについてどういう思いを持っているのか、写真家は写真をどう見ているのか、ということが垣間みられるというところと、大きな図版で迫力のある写真を堪能できる、ということがこの本の魅力ではないかと思います。
出版社青幻舎のページ
本としては決して手頃な価格ではありませんし、嵩張りますが、内容を考えればお値打ちと言えるかも。
学校の図書館、公共図書館などに収蔵されたら、色々な人が楽しめていいでしょうね。英語版は廉価版も出ているそうです。

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2年前に購入したノルウェイの写真家
Tom Sandberg(1953年生まれ)の写真集を繰り返し眺めている。この写真家のことを知ったのは、
2007年にニューヨークのPS1で開催された展覧会だった。
The Morning Newsに、作品とインタビューが掲載されている。
写真を見ていると、宙づりにされた時間、静謐、静止、、というような言葉が湧き、自分がかつて見た光景や、頭の中で再生される映像の一辺を、目の前に差し出されたかのような当惑すら感じてしまう。後頭部の骨まで響く。

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この頃は、オンラインショップや流通の仕組みについて調べたりすることが多くて、その中で見つけて惹かれたのが、サンフランシスコに拠点を置いて活動をしている
Seems というパブリッシャー。
写真家やアーティストが集まって共同で運営しているらしいのだけれど、作りたいように作って、少ない発行部数として
出版し、欲しい人に直接届けるという
シンプルなやり方で本を作っています。
効率や売り上げはともかく、モノを作って人に伝えるやり方としてはとても真っ当な方法だとおもいます。それぞれの本を紹介するページが、木の台の上に置かれた画像から始まっていて、作った人がそこに置いて、買い手に直接送り届けられるという、手から手にわたっていく感触が伝わってきます。日本では
ユトレヒトが取り扱っているそうです。

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翻訳を担当させて頂いた本です。出版社は
PIE BOOKSで、2008年の4月頃に発売されました。
撮る人、選ぶ人。それぞれの写真への想い。第一線で活躍する写真家20名に、キュレーターや編集者など写真の「選び手」8名を加えた総勢28名のインタビュー集。
原著は、Image Makers Image Takers

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現代の欧米の写真家のインタビューがこれだけまとまって日本語で読める本というのも珍しいのではないかと思います。中身の図版、本文のレイアウトは原著と変わらないのですが、翻訳本にはそれぞれのインタビューの冒頭に、関連するウェブサイトの情報を追加しました。わかりやすい邦題がつけられているのに加えて、表紙が原著とはまったくちがうデザイン。小さい画像だとわかり辛いですが、本に被せられた透明なビニールのカバーにモザイクのような印刷が施されていて、ぱっと見た感じだと部分的にモザイク処理を施した写真のように見えます。
翻訳をする前から、すでに作品を見て知っていた写真家も多かったのですが、この本ではじめて
Naomi HarrisWという写真家のことを知り、いわゆる
SwingingWをする人たちのコミュニティーを撮った作品の強烈さが印象に残っています。最近写真集
「America Swings」が刊行されました。
彼女へのインタビューは
こちら。
Zoe StraussWは、フィラデルフィア在住の写真家、インスタレーション作家。30歳から本格的に写真を始め、毎年5月にI-95W(インターステート95)の高架下で、柱に写真を直接貼付けて一日展示するいう試みを続けています。(展示の終わりには、見に来た人が写真を剥がして持って帰れるらしい。)

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『AMERICA』はAMMO BOOKSから刊行された彼女の最初の写真集。地元のフィラデルフィアで撮られたもののほかに、アメリカの地方都市や小さな街、路上で撮影されたもので纏められていて、人々やその生活空間、アメリカ社会が抱える大きな歪みが虚飾のないストレートな視線で捉えられています。店のロゴや、標識、落書きなどが時折効果的に差し挟まれていて、写真集全体を通底するメッセージをより明確なものにしています。
疲弊しきった現在のアメリカを描き出してはいるものの、そのなかにある種の芯の強さのようなものが感じられるのは、彼女の写真のストレートな撮り方によるものでしょう。横位置の写真が多数を占めていますが、そのほとんどに定規で書いたような水平線、垂直線で画面の構成が作られていて、情緒に絡めとられないような撮る側の強さを印象づけます。
この写真集の中身は彼女のFlickrで公開されています。このスライドショーでもある程度わかりますが、写真のシークエンスの作り方、見開きの写真の組み合わせ方がとても効果的。写真の編集の仕方を学ぶ上でも参考になる本ではないかと思います。