Archive for the ‘memo’ Category

胎児と宇宙飛行士

Posted 18 5月 2010 — by mika
Category memo

5月12日には東京工芸大学で写真と出版に関連するテーマで特別講義をさせて頂いたり、また5月16日にはRICOH RING CUBEのワークショップ「モテる写真」で、写真集に関するお話をする機会が続いたこともあったりするので、twitterでも電子書籍に絡む話題をフォローすることが多かったりします。出版産業に少しながら関与する者としては、Google Editionsなどの展開も興味深いところではあります。

写真史という研究分野の片隅に身を置いてきた立場としてみれば、Google Booksでパブリックドメイン化されているグラフ雑誌「ライフ」のバックナンバーのデータは、雑誌というメディアの歴史を知り、伝える素材として重要なものです。もちろん、実際の印刷物に触れて、その大きさや手触りを実感するのが一番良いのですが。
写真家、主題、編集方法など、さまざまな切り口からバックナンバーを拾って見ていくと、興味深い発見があります。以前にも何かの本で指摘されていたように思うのですが、1965年に掲載された2つの記事が、内容、編集方法という点で比較して見ると、非常に印象深い。

一つは1965年4月30日号に掲載された、スウェーデンの写真家、レナート・ニルソンが内視鏡を使って撮影した胎児の生育過程を追ったDrama of Life Before Birth

もう一つは1965年6月18日号に発表された1965年6月3日にアメリカ人初の宇宙遊泳を行ったエドワード・ホワイトをフィーチャーしたThe Glorious Walk in the Cosmos

どちらも、16ページにわたるフォトストーリーで、胎内と宇宙という空間をダイナミックな構成で紹介しています。2カ月足らずの間で掲載されたこれらのストーリーを目の当たりにしたことで、胎児と宇宙飛行士という存在のありようと、それが眼前に可視化されていしまったことに衝撃を受けた人も多かったのではないかと想像します。2つの表紙は限りなく似ている。

公共化された資料を素材にして、いくつかの軸を設けながら、写真、フォトジャーナリズムの歴史を解説するレクチャーや、文章の執筆を考えてもいいのかも、と思っています。

Popular Science

Posted 10 5月 2010 — by mika
Category memo

昨年グラフ雑誌「ライフ」の全てのバックナンバーがGoogle Booksで公開されたことは、以前のエントリーでも言及したことがあったのですが(Life on Google Books),「Popular Science」もGoogle Booksで公開されています

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「ライフ」誌は1936年から1972年の36年分でしたが、Popular Scienceは137年分。しかも、現在も刊行が続けられている雑誌。Make: Japanでの紹介より引用。

私たちは、Googleと共同で、137年間分のアーカイブを無料で閲覧できるようにしました。どの号も、発売された当時そのままです。当時の広告もその まま入っています。これは、時代ごとに移り変わりる、私たちの未来への憧れと、私たちの生活を改善する科学技術の驚くべき可能性をカプセルに閉じ込めた感 動の資料です。みなさんも、私たち同様、存分にお楽しみください。

科学技術の発展にかかわるトピックを拾い上げるだけではなく、雑誌の作り方、印刷技術の変遷を辿って見ていくのも興味深いところ。万国博覧会に関連する記事では、”Robot Cow Moos and Gives Milk”(ロボット乳牛モーと鳴き、乳を出す)という素敵な見出しもあり、版画の挿絵も味わい深い。


Popular Science + というiPad 版もリリースされていて、雑誌の編集技術とデザインが操作性という視点からとらえ直されているところが興味深いところです。ページの切り替え、移動は横にスクロールさせ、文章やキャプションの移動は縦スクロールさせ、画面の方向(縦位置、横位置)の変化に対応できるように、画像の選択、配置を行うということなど。


Mag+ live with Popular Science+ from Bonnier on Vimeo.

電子書籍化の流れは、雑誌や書籍を制作してきた組織体がそれまで蓄積し、築き上げてきたコンテンツを(ある程度)公共化することに連動していて、publicationという言葉(出版/公共化)のありようが問い直されるようになるのだろうな、と思います。法的、権利関係的なことでクリアされるべき問題はさまざまにあるのでしょうが。
iPadはいまのところ購入する予定はありませんが、日本語圏の出版のありようも、この先数年で大変動するのでしょうね。。

the third & the seventh

Posted 10 5月 2010 — by mika
Category memo

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大学での講義に向けたメモ。

建築関係は、CG、ARに絡んでくる要素が多いですが、今年の年始にtwitter経由で教えて頂いた、the third & the seventhという映像作品。「ムービーカメラを通してとらえた建築の映像」として作られたCG。ムービーカメラ、スチールカメラが、映像の各所に登場し、焦点や視線の推移、光の効果により、まるで実写のように錯覚してしまいそうなほどの精度。温度、空気感、テクスチャなどの触覚に訴えかける要素の取り込み方が、「リアルらしさ」を演出しているのかも、とも思います。

また、描き出されている建築物の表面と同等、あるいはそれ以上に存在感を具えて描き出されているのが、カメラ本体のディテール、部品や使い込まれた表面。フィルムやカメラの物質としてのありようへ捧げられたオマージュのような作品といえるのかもしれません。



The Third & The Seventh from Alex Roman on Vimeo.

メイキングの一部。



Compositing Breakdown (T&S) from Alex Roman on Vimeo.

AR, Phaidon Design Classics

Posted 08 5月 2010 — by mika
Category memo

来週、東京工芸大学で特別講義をすることになっているので、今興味を持っている、写真と出版、書籍の関係についていろいろと調べているところです。電子書籍、AR(拡張現実)3Dの技術にかかわる昨今の展開や、今後の展望なども含めて、出版と写真、画像を見る経験について事例を紹介する、という内容になるかと思います。

イタリアのFacoltà di Architettura Valle Giuliaという学校で制作されたCG「教育技術の未来」
建築を学ぶ学生が、図書館で本を開いて、特殊な眼鏡をかけると、ページの端にタブが現れて、画像や、動画、立体モデルが本から立ち上がったり、展開するというもの。


タッチパネル操作と結びつけられる本の将来像の描き方として興味深いところ。

欧米のアート系大手出版社PHAIDONでは、4年前に刊行されたPhaidon Design Classicsがipadのアプリケーションとして期間限定で販売されています。

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以下内容は、amazon.co.jpからの引用。

『Phaidon Design Classics』は、デザイン名品の、総括的で権威ある初めてのコレクションだ。本書は3巻からなり、美しい写真入りで、専門家グループが入念に選定し た999点の工業生産品を紹介している。広範囲にわたる製品の詳細を収録し、デザインの発展を実例を挙げて示した資料集の決定版である。

自動車から家具、食器具からカメラ、日用品から飛行機に至るまで、これほど幅広くデザインを網羅したものはかつてない。本書は、1600年代の終りから現 在に至る世界中のデザイン進化を解説し、特許や試作品、 古い広告、原画、制作過程の紹介画像、およびアーカイブ化された珍しい写真をまとめている。この名品集には、実に4000点もの画像が収録されている。………..本書には、ブロイヤー、ル・コルビュジエ、 ドレフュス、イームズ、柳宗理、カスティリオーニといった世界的に名高いデザイナーの手によるものだけでなく、洗濯ばさみ、コルク栓、箸など、デザイナー 名は明らかではないがデザイン性と機能性において完成された、改善の余地がない作品の数々が収録されている。

紙版の出版物のコンテンツのデータに加えて、操作、検索の機能を具えているわけです。3冊組の本は価格100ポンドに対して、ipadアプリケーションは2300円。レファレンス性、情報の編集精度が高いコンテンツが提供されるようになっていけば、価格設定の仕方も含め、これからの展開も興味深いところ。美術館の展覧会のカタログなど、資料的な価値があっても、流通する機会、経路、保管に障害の多いものが、アプリケーション化されると良いのでは、とも思います。

翻訳作業終了

Posted 04 5月 2010 — by mika
Category memo

かれこれ2カ月以上集中して取り組んでいたFOTOBOX の翻訳作業に一区切りつき、ゲラ校正も終わりました。納品したデータの文字カウントしたら30万字で、自分がこれまでに手がけた本の翻訳の中ではかなりボリュームのある方です。(翻訳を専門の仕事にしておられる方にとっては、そんなに大した量ではないのかもしれませんが。)

この本は、見開きで、右側のページに写真が一点掲載され、その写真についての解説文と、撮影した写真家の略歴が添えられています。合計250点の写 真が紹介されていて、ルポルタージュ、戦争、ポートレート、ヌード、女性、旅行、都市、アート、ファッション、静物、スポーツ、自然という12のカテゴ リーが設けられています。紹介されている写真は、著名な写真家による良く知られている作品も多く、写真の黎明期から現代美術家の作品も含まれ、写真史の入門書的な本としてもお奨めできるものです。 図版の印刷も良いですし。イタリアのContrastoという写真エージェンシーの関連出版社が作っている本なので、取り上げられている写真家もイタリア人が多く、日本語圏ではほとんど紹介されたことのない作家の名前も眼にします。作業中に、掲載されている写真家のことを色々と調べるうちに、ご本人の名前や財団で作られているウェブサイトに行き当たったりすることが多かったので、日本語版には、それぞれのサイトのURLをページの末尾に掲載しています。イタリア語版、英語版にはウェブサイトの情報はほとんど掲載されていないので、日本語版の特典、ということで。一枚の写真を見て写真家に興味を持った方がそのサイトにアクセスして、ほかの作品を知る機会が増えたらよいな、と思っています。

写真家のサイトは総じて背景に白や黒、グレーを使って、写真をすっきりと際立たせてみせようとするデザインが多いのですが(例 Horst P. Horst)、ファッション、エディトリアル関係の写真家のサイトは、より派手な演出をほどこしたものもあって、(例 David LaChapelle)写真家の作品の性格とウェブサイトのつくりかたを見比べて見るのも面白い。写真家を志す人、web上での写真のプレゼンテーションの仕方を模索している人にとっても参考になるかもしれません。この本がウェブサイトにアクセスするための一種のプラットフォームになるかも、と思います。

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この作業をしている最中にipadが発売されたり、電子書籍を巡る話題が以前にも増して多くなってきました。アアート関係の本や写真集は、国内の出版社が刊行するものであれ、外国(多くの場合は西欧諸国)から輸入されるものであれ、単価が高く、流通量、取り扱う書店も多くはありません。
翻訳や文章を書く仕事に僅かに携わりながら、出版物の行く末を案じますが、電子書籍、ipad云々言う前に、紙で作られてきた書物や雑誌の歴史の厚みを知らないとダメなんじゃないか、と確信を込めて思います。

内外文字印刷株式会社見学

Posted 24 2月 2010 — by mika
Category memo

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temp pressの澤辺由記子さんのご紹介で、東京都板橋区にある内外文字印刷株式会社に、マレビトスクールのメンバー久保元幸さんと、建築家の松畑強さんと一緒に見学にお邪魔しました。
代表取締役会長の小林敬さんから頂いたお名刺には「どこまでもグーテンベルグ わたしたちは金属活字活版印刷tで本造りを続けます」という宣言のお言葉。午前中いっぱいのお時間を頂いて、馬棚にぎっしりと並ぶ活字や、活字を鋳造する機械、文字を拾う作業、文字を組んでページを作る作業、印刷の作業を見せて頂き、いろいろとお話を伺いました。自分が生まれる前から使われ続けている機械が働く様子や、鋳造される一つ一つの文字のモノとしての存在感、指先に眼がついているかのように仕事をされる職人の方たちの所作に圧倒されたひとときでした。
DTP、インターネット環境にどっぷりと浸かって生活している自分のことを振り返ると、人の発する言葉が活字として立ち現れ、離れたところにいる人の眼と手のもとに届けられるまでに、途方もなく手の込んだ行程を要していたこと、今の文字伝達環境が長い歴史と技術の蓄積の上に成り立っていることを忘れてしまっています。本や雑誌の原稿執筆や、翻訳の仕事をするという立場で、印刷物の生産にかかわっているものの、キーボードを叩き、データのやり取りをすることが作業プロセスのほとんどを占めていて、手で紙の上に文字を書くこともほとんどないし、ゲラ刷りの確認ぐらいしか、紙の上で作業をすることはなくて、出来上がった雑誌や本が手元に届けられても、それによってモノを作っているという実感が得られることはあまりなかったりするのです。

世の中の趨勢から、過去にそうであったように活版印刷が産業として成り立つということは今後ないのだと思います。しかし、技術の成り立ちを知り、そのプロセスをたどり、その手触りや音、匂い、重み、温度といったことも含めて触れておくことは今、必要なことなのではないか、とも思うのです。

私が惚れた写真集たち 1 “from my window”, Andre Kertez

Posted 03 2月 2010 — by mika
Category memo



トークイベント「モテる写真!」に関連して、「私が惚れた写真集たち」を数冊ご紹介します。美術関係の教育機関で定期的に講義をしたり、写真関係の本を翻訳したりしてきた経験もあるので、それなりの数の写真集やカタログなどを資料として買ったり、図書館で借りたり、時には頂いたりして見てきています。いずれ仕事で使うから買ったとか、たまたま手に入ったから持っているという本も多いのですが、どうにも気持ちが動いて仕方ない、手元に置いておきたいと惚れ込んで買ってしまったものも、数々あります。

そういう写真集を、生活の中で頻繁に手に取って見ているのか、と言われると実際のところそうでもなかったりするのですが、一度手に取り、ページを繰ると、やっぱり好きだなぁという気持ちがじわじわと湧くし、住む場所を変えても、処分したり仕舞ったりせずにずっと近いところに一緒にいるものなので、私になにがしかの影響を与えてくれるものだと思います。
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そういうことをつらつらと考えながら、本棚を眺めていて、まず手に取ったのがアンドレ・ケルテスの『from my window』(1981)。長年連れ添った妻エリザベスに先立たれ、塞がった気分で過ごしていたケルテスは、偶然手に入れたポラロイドカメラSX 70でニューヨークのワシントン・スクエア近くにあるアパートの窓辺で、手近にあるものを撮り始める。当時彼は84歳。それまで白黒写真で撮っていた彼にとってポラロイドによるこのシリーズは、初めてのカラー写真による作品、ということでもある。ポラロイド特有の、表面の層に光が溜まっているような密度をそなえた発色。

光の差し込む窓辺に置かれたさまざまなオブジェの中に、滑らかな曲線をえがく胸像のようなガラスのオブジェがある。ケルテスが近所のアンティークショップの店先で見かけたときに、そのかたちがエリザベスの姿と首筋を彷彿させるからという理由で衝動的に買い求めたものだという。ガラスのオブジェは、窓辺の光の移ろいを透し、階下の眺めを留め、刻々とその色合いと表情を変えていく。その表情を写しとめることに彼は日々の大半の時間を費やしていたのだという。「for Elizabeth」という冒頭の献辞に添えられた写真に収められた、正面を見るエリザベスのモノクロームのポートレート写真。彼女の肩を抱く手はケルテス自身のもの。写真の上に重ねられたいばらの輪。時間の層に触覚が深くたくし込まれている。

この写真集に巡り会ったのは、20歳代前半。ニューヨークに旅行していてURSUS BOOKSという古書店本屋で見つけて、思いきって購入した。その当時は、この作品にまつわる、一人の女性への愛情に根ざしたエピソードに感情移入して、光の移ろいがもたらす豊かな色の表情に惹かれて、見えない女性の佇まいに重ね合わせて想像しながら写真を見ていたように思うのだけれど、今はもう少し違う見方もできる。

この本は、正方形に近い版型で、上下左右に写真と同じくらいの幅、高さの白場が設けられている。つまり、写真が紙面という表面に穿たれた窓のように現れ、対面するページを連なるように続いていく。手近に捉えられたオブジェは、その背景に退く遠景の光によって、内省と回想の空間を立ち上がらせる。窓の内側として描き出される空間は、光が到来するその遠い在処につながっている。小さな窓から視線をどこまで遠く届かせることができるのか、という深い問い。windowの語源が「風の眼」という意味を持つことを思いながらページを繰ると、色の移ろいは私の眼の奥で、風のような空気の流れとして立ちあがる。

写真集の表紙はあたたかな光を彷彿させるようなオレンジ色、その影のようにはりついた見返しのインディゴ・ブルー。光と影、内側と外側、近さと遠さ、その往還を暗示しているようでもある。

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translation

Posted 30 1月 2010 — by mika
Category memo

fotobox

イタリアのcontrasto booksから出版されているFOTO:BOXという本を翻訳させて頂くことになりました。現在刊行されているのはイタリア語版ですが、頂いているテキストは英語。振り返れば、最初に共訳で2001年に出版させて頂いた『写真のキーワード 技術・表現・歴史』以来、訳者として名前が出る仕事は5冊目、ということになります(それ以外に、部分的に関わっているものもありますが。。)。これまでに写真にかかわる仕事を続けて来られたのは、翻訳するという立ち位置を時折頂くことができたからなのかも、と思っています。

翻訳者は黒子のような立ち位置の仕事で、私が介在することで本を手に取って、写真家のことや作品のことに興味を持つ人が少しでも増えれば嬉しい。

FOTO:BOXというタイトルのとおり、箱のような佇まい。厚さは5センチ弱。ページが開く側が、マグネットで軽く閉じられるようになっています。テーマごとに選ばれた写真が見開きの右側のページに、左側のページにはその作品の解説と写真家の略歴が掲載されているという構成。パラパラと文章を読むと、作品の背景解説にとどまらない、見方、味わい方の指南も含まれている文章もあって、良いなと。

作品総数は250点余り。選ばれているのは19世紀半ばから現在にいたるまで幅広いのですが、いわゆる西欧社会の写真史文脈の巨匠達のよく知られている作品とイタリアの写真家の作品が多い。せっかく今編集して作るのなら、アジア、アフリカ圏の作家も入ってきたら尚良いのに、ね。

ベッドの上に置いて撮ってます。奥のクッションのせいで若干大きく見えるけれど、実際はB5変形程度とそんなに大きくはないけれど、ずっしりと重い。

結び 

Posted 24 1月 2010 — by mika
Category memo

くくのち学舎で開講された折形講座(3)心の折形、結びかたに 参加して、水引の結び方やその意味を教えて頂く。この講座には昨年も一度参加させて頂いたことがあった。折形デザイン研究所の山口さんのお話を聴いて、折形の成り立ちや、歴史的背景、考え方などを学びながら実際に手を動していくので、知識とともに触覚的に体得できることが多い。

両輪(もろわな)結び、結び切り、あわじ結び、といった結び方が、贈る物や贈り物を受け取る側本位の方法として成り立っていること、「むすび」という言葉が「むすこ」や「むすめ」とつながっていること(男女の結びの先にあるものとして)など。

私は蝶結びも苦手なのだけど(なぜかいつも縦結びになってしまうという体たらく)、和紙や水引の感触を味わいながら、人に差し上げるようにものを包む方法ということを学ぶことは、気持ちにかたちをあたえる術を知る、ということでもあるのだなと腑に落ちる。

すでに折線のついた折形の紙を頂いて、折り曲げていくと、小さな家のような形の箱状のものができあがる。切り込みも入れず、接着もしないのに端正な立体になるのがすばらしい。中に和三盆のお干菓子「三かく四かく」を一つ入れ、紅白の水引一本で両輪結びをほどこすと、小さな贈り物の完成。

二人静にも似たこのお干菓子、舌の上ですぐにさらりと溶けていく。一度自分の手で包んで結んだものを、解いて口の中に入れると、自分の体もまた何かを包み、解かれる紙の器に近しいものかもしれないとも思う。

touching the surface

Posted 10 1月 2010 — by mika
Category memo

LIVE BOOKSというサンフランシスコの会社のサイトで、Future of Photobooksというプロジェクトが組まれていて、制作、消費、財源などの観点から、写真集のこれから、が議論されています。オンデマンド出版、電子書籍など出版のあり方が大きく変わっていくなかで、何が写真集というものを成り立たせるのか、今後の展開が興味深い。

その中の一例に、Kindleのような端末の発展した形として、操作性、拡張性を備えた「未来の雑誌」のフォーマットが提案されています。



Mag+ from Bonnier on Vimeo.

たしかに、膨大な情報を、一つの端末として持ち運べるのは便利だろうし、そのインターフェースのあり方も興味深いのだけれども、モニタの透過光で表れ、表面に去来する像は、どれだけ眼の奥に残るのだろう、とも思う。

像の支持体であるマテリアルに、その像を宿した固有の表面に触れたい、触るように見る、ということを、私はしたい。

ものであれ人であれ何であれ、気持ちが動かされる対象を触れることへの切実な欲望を代替するものはないし、触れるということがなければ、その表面という境界を越える想像力も働かないのではないかしら。