かれこれ2カ月以上集中して取り組んでいたFOTOBOX の翻訳作業に一区切りつき、ゲラ校正も終わりました。納品したデータの文字カウントしたら30万字で、自分がこれまでに手がけた本の翻訳の中ではかなりボリュームのある方です。(翻訳を専門の仕事にしておられる方にとっては、そんなに大した量ではないのかもしれませんが。)
この本は、見開きで、右側のページに写真が一点掲載され、その写真についての解説文と、撮影した写真家の略歴が添えられています。合計250点の写 真が紹介されていて、ルポルタージュ、戦争、ポートレート、ヌード、女性、旅行、都市、アート、ファッション、静物、スポーツ、自然という12のカテゴ リーが設けられています。紹介されている写真は、著名な写真家による良く知られている作品も多く、写真の黎明期から現代美術家の作品も含まれ、写真史の入門書的な本としてもお奨めできるものです。 図版の印刷も良いですし。イタリアのContrastoという写真エージェンシーの関連出版社が作っている本なので、取り上げられている写真家もイタリア人が多く、日本語圏ではほとんど紹介されたことのない作家の名前も眼にします。作業中に、掲載されている写真家のことを色々と調べるうちに、ご本人の名前や財団で作られているウェブサイトに行き当たったりすることが多かったので、日本語版には、それぞれのサイトのURLをページの末尾に掲載しています。イタリア語版、英語版にはウェブサイトの情報はほとんど掲載されていないので、日本語版の特典、ということで。一枚の写真を見て写真家に興味を持った方がそのサイトにアクセスして、ほかの作品を知る機会が増えたらよいな、と思っています。
写真家のサイトは総じて背景に白や黒、グレーを使って、写真をすっきりと際立たせてみせようとするデザインが多いのですが(例 Horst P. Horst)、ファッション、エディトリアル関係の写真家のサイトは、より派手な演出をほどこしたものもあって、(例 David LaChapelle)写真家の作品の性格とウェブサイトのつくりかたを見比べて見るのも面白い。写真家を志す人、web上での写真のプレゼンテーションの仕方を模索している人にとっても参考になるかもしれません。この本がウェブサイトにアクセスするための一種のプラットフォームになるかも、と思います。


この作業をしている最中にipadが発売されたり、電子書籍を巡る話題が以前にも増して多くなってきました。アアート関係の本や写真集は、国内の出版社が刊行するものであれ、外国(多くの場合は西欧諸国)から輸入されるものであれ、単価が高く、流通量、取り扱う書店も多くはありません。
翻訳や文章を書く仕事に僅かに携わりながら、出版物の行く末を案じますが、電子書籍、ipad云々言う前に、紙で作られてきた書物や雑誌の歴史の厚みを知らないとダメなんじゃないか、と確信を込めて思います。






