マレビトスクール企画:体験ワークショップ 「デッサンを通して学ぶ、観察・分析・表現」

マレビトスクールの企画告知です。今回はデッサン!

今回のワークショップでは、写真家として活動する一方で、美術予備校でデッサンの講師でもある滝口浩史さんの指導により、デッサンの基礎的なプロセスを体験し、その根底にある考えを学びます。観察し、分析し、構成するというデッサンのプロセスは、どのような表現・伝達手段のベースにあるものです。また、写真術の原点であるカメラオブスクラが、デッサンをする補助手段として発明され、画家によって活用されてきたということをかんがみると、デッサンは写真を撮る人にとって、カメラの原理を知り、写真に対する理解を深めるための必須の技術でもあるのです。
鉛筆、消しゴム、画用紙というシンプルな道具立てで、眼と手を使って注意深く観察しながら描くという体験を通して、参加される方のさまざまな見方、描き方を知り、共有する機会になれば、と思います。いわゆる画力の巧拙を競ったり、その技術のレベルアップをめざしたりする講座ではありません。お試し的な体験ワークショップですので、お気軽にご参加下さい。

講師/ワークショップ指導 滝口浩史 (たきぐち こうじ)

1977年静岡生まれ 写真家 2004年にキヤノン写真新世紀準グランプリ受賞。東京芸術大学デザイン科在学中から、新宿美術学院、大塚テキスタイル専門学校デッサンを指導し、現在両校の講師。2008年にニコンJuna21にて個展「窓-SOU」、2010年ビジュアルアーツ・ギャラリー東京にて個展「PEEP」を開催。
http://kojitaki.com/

進行役 小林美香

開催日時 2010年6月18日 金曜日 19:00-21:00
開催場所  NADAR/SHIBUYA355 150-0002 東京都渋谷区渋谷3-5-5. HAKKAビル2F  http://nadar.jp/tokyo/
定員 15名
参加費 2500円 (材料費/飲物代込み)
こちらでご提供する材料 デッサン用の画用紙、鉛筆、練り消しゴム、クリップ付きのボード

お問い合せ/申込先 mika@marebito-school.com

希望人数とお名前をお知らせ下さい。デッサン用の鉛筆を削るためにカッターナイフが必要ですので、お持ちのものをご持参下さい。

このワークショップは定員に達しましたので、申し込み受付を終了しました。(6/13)

胎児と宇宙飛行士

5月12日には東京工芸大学で写真と出版に関連するテーマで特別講義をさせて頂いたり、また5月16日にはRICOH RING CUBEのワークショップ「モテる写真」で、写真集に関するお話をする機会が続いたこともあったりするので、twitterでも電子書籍に絡む話題をフォローすることが多かったりします。出版産業に少しながら関与する者としては、Google Editionsなどの展開も興味深いところではあります。

写真史という研究分野の片隅に身を置いてきた立場としてみれば、Google Booksでパブリックドメイン化されているグラフ雑誌「ライフ」のバックナンバーのデータは、雑誌というメディアの歴史を知り、伝える素材として重要なものです。もちろん、実際の印刷物に触れて、その大きさや手触りを実感するのが一番良いのですが。
写真家、主題、編集方法など、さまざまな切り口からバックナンバーを拾って見ていくと、興味深い発見があります。以前にも何かの本で指摘されていたように思うのですが、1965年に掲載された2つの記事が、内容、編集方法という点で比較して見ると、非常に印象深い。

一つは1965年4月30日号に掲載された、スウェーデンの写真家、レナート・ニルソンが内視鏡を使って撮影した胎児の生育過程を追ったDrama of Life Before Birth

もう一つは1965年6月18日号に発表された1965年6月3日にアメリカ人初の宇宙遊泳を行ったエドワード・ホワイトをフィーチャーしたThe Glorious Walk in the Cosmos

どちらも、16ページにわたるフォトストーリーで、胎内と宇宙という空間をダイナミックな構成で紹介しています。2カ月足らずの間で掲載されたこれらのストーリーを目の当たりにしたことで、胎児と宇宙飛行士という存在のありようと、それが眼前に可視化されていしまったことに衝撃を受けた人も多かったのではないかと想像します。2つの表紙は限りなく似ている。

公共化された資料を素材にして、いくつかの軸を設けながら、写真、フォトジャーナリズムの歴史を解説するレクチャーや、文章の執筆を考えてもいいのかも、と思っています。

PeeP展トークイベント 5月22日

写真家の滝口浩史さんの展覧会、『PeeP』の関連イベントとして滝口さんと一緒にトークイベントをさせて頂くことになりました。ご都合良ければ是非ご参加下さい。
会期 2010年 5月 10日 (月) — 6月 5日 (土)
日曜祝日休館
10:00〜18:00
最終日15:00まで
トークイベント
5月22日(土)17:00〜
滝口浩史・小林美香(写真研究家)/入場無料
会場 ビジュアルアーツギャラリー・東京
03-3221-0206(東京ビジュアルアーツ写真学科)
東京都新宿区西早稲田3-14-3 1F
以下滝口さんのサイトに掲載されているPeePのコンセプトです。


他者を知る、見るということ。

人間は社会に生きる上で、仕事や地位に就き、
またそれぞれの個人の空間や時間を持っている。
私たちは、その社会において多くの人に出会う。
そこで出会う人々について、私たちはどの位知っているだろうか?
仕事姿だけを知っている人やプライベートな時間でしか会わない人など、
彼らを断片的な側面しか知らないことがほとんどだと思う。
私は、もう少し彼らについて知りたいと思った。
仕事だけでなく、彼らのプライベートな空間や好きな時間について。

タイトルの「PeeP」は「覗き見る、盗み見る」という意味である。
私はただ一方的に、写真という媒体で彼らの生活を覗き見るのではなく、
彼らもまたカメラの方を見つめ、 主体性を持ち、
こちらを見つめ返すという意味を込めたかった。
タイトルの「PeeP」という反転は、その事を意図している。

私たちは他者を知っているようで、全く知らない。
私たちもまた一人の他者であり、他者を知ることとは、
興味を持ってみることであり、見せることである。

Popular Science

昨年グラフ雑誌「ライフ」の全てのバックナンバーがGoogle Booksで公開されたことは、以前のエントリーでも言及したことがあったのですが(Life on Google Books),「Popular Science」もGoogle Booksで公開されています

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「ライフ」誌は1936年から1972年の36年分でしたが、Popular Scienceは137年分。しかも、現在も刊行が続けられている雑誌。Make: Japanでの紹介より引用。

私たちは、Googleと共同で、137年間分のアーカイブを無料で閲覧できるようにしました。どの号も、発売された当時そのままです。当時の広告もその まま入っています。これは、時代ごとに移り変わりる、私たちの未来への憧れと、私たちの生活を改善する科学技術の驚くべき可能性をカプセルに閉じ込めた感 動の資料です。みなさんも、私たち同様、存分にお楽しみください。

科学技術の発展にかかわるトピックを拾い上げるだけではなく、雑誌の作り方、印刷技術の変遷を辿って見ていくのも興味深いところ。万国博覧会に関連する記事では、”Robot Cow Moos and Gives Milk”(ロボット乳牛モーと鳴き、乳を出す)という素敵な見出しもあり、版画の挿絵も味わい深い。


Popular Science + というiPad 版もリリースされていて、雑誌の編集技術とデザインが操作性という視点からとらえ直されているところが興味深いところです。ページの切り替え、移動は横にスクロールさせ、文章やキャプションの移動は縦スクロールさせ、画面の方向(縦位置、横位置)の変化に対応できるように、画像の選択、配置を行うということなど。


Mag+ live with Popular Science+ from Bonnier on Vimeo.

電子書籍化の流れは、雑誌や書籍を制作してきた組織体がそれまで蓄積し、築き上げてきたコンテンツを(ある程度)公共化することに連動していて、publicationという言葉(出版/公共化)のありようが問い直されるようになるのだろうな、と思います。法的、権利関係的なことでクリアされるべき問題はさまざまにあるのでしょうが。
iPadはいまのところ購入する予定はありませんが、日本語圏の出版のありようも、この先数年で大変動するのでしょうね。。

the third & the seventh

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大学での講義に向けたメモ。

建築関係は、CG、ARに絡んでくる要素が多いですが、今年の年始にtwitter経由で教えて頂いた、the third & the seventhという映像作品。「ムービーカメラを通してとらえた建築の映像」として作られたCG。ムービーカメラ、スチールカメラが、映像の各所に登場し、焦点や視線の推移、光の効果により、まるで実写のように錯覚してしまいそうなほどの精度。温度、空気感、テクスチャなどの触覚に訴えかける要素の取り込み方が、「リアルらしさ」を演出しているのかも、とも思います。

また、描き出されている建築物の表面と同等、あるいはそれ以上に存在感を具えて描き出されているのが、カメラ本体のディテール、部品や使い込まれた表面。フィルムやカメラの物質としてのありようへ捧げられたオマージュのような作品といえるのかもしれません。



The Third & The Seventh from Alex Roman on Vimeo.

メイキングの一部。



Compositing Breakdown (T&S) from Alex Roman on Vimeo.

AR, Phaidon Design Classics

来週、東京工芸大学で特別講義をすることになっているので、今興味を持っている、写真と出版、書籍の関係についていろいろと調べているところです。電子書籍、AR(拡張現実)3Dの技術にかかわる昨今の展開や、今後の展望なども含めて、出版と写真、画像を見る経験について事例を紹介する、という内容になるかと思います。

イタリアのFacoltà di Architettura Valle Giuliaという学校で制作されたCG「教育技術の未来」
建築を学ぶ学生が、図書館で本を開いて、特殊な眼鏡をかけると、ページの端にタブが現れて、画像や、動画、立体モデルが本から立ち上がったり、展開するというもの。


タッチパネル操作と結びつけられる本の将来像の描き方として興味深いところ。

欧米のアート系大手出版社PHAIDONでは、4年前に刊行されたPhaidon Design Classicsがipadのアプリケーションとして期間限定で販売されています。

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以下内容は、amazon.co.jpからの引用。

『Phaidon Design Classics』は、デザイン名品の、総括的で権威ある初めてのコレクションだ。本書は3巻からなり、美しい写真入りで、専門家グループが入念に選定し た999点の工業生産品を紹介している。広範囲にわたる製品の詳細を収録し、デザインの発展を実例を挙げて示した資料集の決定版である。

自動車から家具、食器具からカメラ、日用品から飛行機に至るまで、これほど幅広くデザインを網羅したものはかつてない。本書は、1600年代の終りから現 在に至る世界中のデザイン進化を解説し、特許や試作品、 古い広告、原画、制作過程の紹介画像、およびアーカイブ化された珍しい写真をまとめている。この名品集には、実に4000点もの画像が収録されている。………..本書には、ブロイヤー、ル・コルビュジエ、 ドレフュス、イームズ、柳宗理、カスティリオーニといった世界的に名高いデザイナーの手によるものだけでなく、洗濯ばさみ、コルク栓、箸など、デザイナー 名は明らかではないがデザイン性と機能性において完成された、改善の余地がない作品の数々が収録されている。

紙版の出版物のコンテンツのデータに加えて、操作、検索の機能を具えているわけです。3冊組の本は価格100ポンドに対して、ipadアプリケーションは2300円。レファレンス性、情報の編集精度が高いコンテンツが提供されるようになっていけば、価格設定の仕方も含め、これからの展開も興味深いところ。美術館の展覧会のカタログなど、資料的な価値があっても、流通する機会、経路、保管に障害の多いものが、アプリケーション化されると良いのでは、とも思います。

翻訳作業終了

かれこれ2カ月以上集中して取り組んでいたFOTOBOX の翻訳作業に一区切りつき、ゲラ校正も終わりました。納品したデータの文字カウントしたら30万字で、自分がこれまでに手がけた本の翻訳の中ではかなりボリュームのある方です。(翻訳を専門の仕事にしておられる方にとっては、そんなに大した量ではないのかもしれませんが。)

この本は、見開きで、右側のページに写真が一点掲載され、その写真についての解説文と、撮影した写真家の略歴が添えられています。合計250点の写 真が紹介されていて、ルポルタージュ、戦争、ポートレート、ヌード、女性、旅行、都市、アート、ファッション、静物、スポーツ、自然という12のカテゴ リーが設けられています。紹介されている写真は、著名な写真家による良く知られている作品も多く、写真の黎明期から現代美術家の作品も含まれ、写真史の入門書的な本としてもお奨めできるものです。 図版の印刷も良いですし。イタリアのContrastoという写真エージェンシーの関連出版社が作っている本なので、取り上げられている写真家もイタリア人が多く、日本語圏ではほとんど紹介されたことのない作家の名前も眼にします。作業中に、掲載されている写真家のことを色々と調べるうちに、ご本人の名前や財団で作られているウェブサイトに行き当たったりすることが多かったので、日本語版には、それぞれのサイトのURLをページの末尾に掲載しています。イタリア語版、英語版にはウェブサイトの情報はほとんど掲載されていないので、日本語版の特典、ということで。一枚の写真を見て写真家に興味を持った方がそのサイトにアクセスして、ほかの作品を知る機会が増えたらよいな、と思っています。

写真家のサイトは総じて背景に白や黒、グレーを使って、写真をすっきりと際立たせてみせようとするデザインが多いのですが(例 Horst P. Horst)、ファッション、エディトリアル関係の写真家のサイトは、より派手な演出をほどこしたものもあって、(例 David LaChapelle)写真家の作品の性格とウェブサイトのつくりかたを見比べて見るのも面白い。写真家を志す人、web上での写真のプレゼンテーションの仕方を模索している人にとっても参考になるかもしれません。この本がウェブサイトにアクセスするための一種のプラットフォームになるかも、と思います。

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この作業をしている最中にipadが発売されたり、電子書籍を巡る話題が以前にも増して多くなってきました。アアート関係の本や写真集は、国内の出版社が刊行するものであれ、外国(多くの場合は西欧諸国)から輸入されるものであれ、単価が高く、流通量、取り扱う書店も多くはありません。
翻訳や文章を書く仕事に僅かに携わりながら、出版物の行く末を案じますが、電子書籍、ipad云々言う前に、紙で作られてきた書物や雑誌の歴史の厚みを知らないとダメなんじゃないか、と確信を込めて思います。